有限会社土遊野

土遊野通信2023.11月号

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土遊野通信2023.11月号

土遊野通信2023.11月号

2023/10/31

はじめに

先月10月にはメディアでは熊の被害が多く取り上げられていました。 サルやイノシシ、シカの目撃情報が人への被害が多いとのことでした。森の木の実が不作といわれている今年、里山に住んでいる私達の側にもたくさんの形跡と、夜に車を走らせるとかなりの確率で彼らに遭遇します。あえて車のライトの前に現れて走ってくれると思ってしまうくらいに。実害は確かにあり、そば畑は一夜にしてイノシシによって全滅となってしまいました。それでも恐れる対象なのだろうか。私達ひとの存在も、彼らにとってきっと脅威であるだろう。この地球には人以外にもたくさんの生き物が生きていることを、実感できる秋となりそうです。

土遊野循環記

有機米の栽培と平飼い養鶏を主軸に 循環型農業を行っていますが今年の通信では、この循環について詳しくお伝えしていきたいなと思っています。農業に興味がある方、いつかやってみたいと思う方にはどんどん参考にしてもらえたら、嬉しいです。

第10回「落ち葉の循環」

前回は「品種で繋ぐお米の循環」というお話をしました。

今回は「落ち葉の循環」について、お話したいと思います。

11月、土遊野のある里山も紅葉が深まる時期です。

この循環記のはじめに、落ち葉の裏にいる菌たちから循環が始まることをお伝えしました。

今回はもう少し深くお伝えします。

 

私が農業を始めて一番最初に教わったことは、温床づくりでした。

当時はトマトづくりに力を入れていて、2月の最初の仕事は、トマトの苗を育てるために温かい苗床を作っていました。

電気温床ではなく、落ち葉を使った自然温床です。

作り方としては、まず前年の11月に、森や用水から落ち葉を集めて置きます。

ゴミ袋に20袋くらいで結構な大仕事です。

父と一緒に落ち葉を拾いにいくと、「めぐみ、見てみろ、森の神様がいた」と教えてくれました!

何かキラキラしたものが出てきたのかと思ったら、それは落ち葉の下にあった白いはんぺんみたいな物体でした。「これは菌の塊なんだ」と嬉しそうに探し当てた父が印象的でした。

糸状菌は所謂カビと呼ばれるもの。

人間社会ではカビと聞くとネガティブなイメージが強いかもしれません。

でも、森と生きる農業という仕事の中では、これを森の神様と呼ぶのかと、心から感動したのを覚えています。

私はそこで、菌類が「有機物を無機物に分解している」から、生態系の循環が成り立っていることを知りました。思えば、なんで落ち葉ってなくなってしまうんだろう?土ってどうやってできるのだろう?農業を始めた頃の私には、たくさんのハテナを持っていました。

温床の作り方に戻りますが、集めた落ち葉にはたくさんの菌類がついています。

その菌たちのエサとなる米ぬかをふりかけてやり、棚田で穫れたお米の籾殻と、

適度な水分を上げ、適度に切り返して混ぜ込みます。

そうすると1週間ほどでホコホコ温かくなってきます。温度は60度ほどまで上がります。

それを1メートルほどの高さの枠に入れ、平らにしてシートをおくとその上は低温サウナのようで、表面が焼く30度ほど。菌たちが活発に生きているうちは温度をいただけます。

その上に、発芽したトマトの苗を並べ4月まで育て、5月に植え付けます。

途中で温度が下がる場合は、切り返して空気(酸素)を入れてやり、米ぬか(エサ)と水分を足しであげます。

その春に使い終わった温床はどうなるか、、、、

翌年にも一部は材料として使えますが、2年もするとホクホクの土になります。

そしてその土に、次はトマトの種を播きます。

森の落ち葉には、土を育てるこんな力があるのです。

この落ち葉の循環で生きているのが、日本の森なのです。

森に入ると、地面がふかふかです。

種を蒔いたら何でも発芽しそうな豊かな土の部分もあります。

私達が次世代に残したいもの、その一つに「種を蒔けば何でも育つ豊かな土」があります。

そして、もう一つ、その土の育て方です。

育てるというより、豊かな土が育つ環境の整え方や、その循環を壊さないやり方などですね。

次の世代にこの土作りを伝えるために、有機農業をやっていく。

なぜなら、豊かな土があれば、豊かな食べ物が育つからです。

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前号にあったように東北タイでお世話になった彼女からの同じフィールドに立ってこその地域変革というお話を聞き、私は里山で農業をしている両親を思い出しました。現場の課題を解決するために、現場で現地の人と共に生きること。それは両親の生き方でした。私は二十歳になり父とお酒を飲んでいた時、「どうして農業しようと思ったの?」と尋ねたことがあります。父は「俺の農業は、反戦運動なんだ」と話してくれました。人間の多くは生きるための領土、資源、食料を求めて争ってきた。奪い合うのではなく、食料を生み出せるのだと、資源を搾取するのではなく、育て繋げるのだと。20歳、どこでどう生きていこうか一番悩んでいた時期でした。農業は大切だと思うけど、富山の山奥で農業なんかしたら社会から閉ざされちゃうんじゃないか、自分の生きる世界が狭くなっちゃうんじゃないかと思う気持ちが、正直ありました。でもタイでの経験と両親の生き方と言葉から、農業こそ世界に繋がっている仕事じゃないか、時代をまたいで通用する仕事じゃないかと、とてもとても大きな仕事として捉えることができたのです…… 次号へ続く

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