土遊野通信2023.10月号
2023/10/17
はじめに
猛暑と少雨。これが、お米農家に何をもたらすのか。これを確かめる今年の稲刈りと なりました。品種によって、栽培の場所によって、田んぼ一枚ずつによって出来が変わってくるのがお米です。100枚を超える田んぼを管理させていただいているお陰で 色々な挑戦を試み、結果を得ることが出来ます。富山では年に一回しか出来ないお米ですが、捉え方は無限大です。13年目のお米づくりでしたが、実は、工夫した栽培技術の中から、土遊野の究極の田んぼの一端を見た年でした。挑戦の先にしか見えない景色がある。今年は昨年より少ないスタッフで広げた農地を管理しました。スタッフの成長とがんばりにもとても感謝し、励まされるシーズンでした。
土遊野循環記
有機米の栽培と平飼い養鶏を主軸に 循環型農業を行っていますが今年の通信では、この循環について詳しくお伝えしていきたいなと思っています。農業に興味がある方、いつかやってみたいと思う方にはどんどん参考にしてもらえたら、嬉しいです。
第9回「品種で繋ぐお米の循環」
前回は「田んぼを巡る循環」というお話をしました。
今回は「品種で繋ぐお米の循環」について、お話したいと思います。
10月、土遊野では晩稲の品種でイセヒカリというお米を育てています。
収穫や10月10日頃。これが終わると、すべての稲刈りが終了し、
来年のお米作りに向けた、土作りがスタートします。
土遊野で一番多く育てているのは有名な「コシヒカリ」という品種です。
富山県内では不動の人気品種だからです。しかしながら、土遊野の管理させていただいている田んぼは
100枚を超えます。
田植えは約1ヶ月、稲刈りも同じくらいかかりますので、同じ品種を植えてしまっては、出来に不揃いが出てしまうこともあり、実る時期が異なる品種をいくつか育てています。
それぞれの田んぼで美味しいお米を育てるためには、大切な技術です。
早生品種の「てんたかく」…収穫時期8月25日頃~
8月末には出荷が始まるトップバッターです。
富山県で生まれた早生品種で、粒が大きく少し角ばっていて、もっちり食感が特徴。
そしてとてもきれいなお米に育ちます。
実際に、今年の酷暑でも白濁することなく1等米の品質を保てるほど。強い品種だなと思っています。
中生品種の「コシヒカリ」「ミルキークイーン」…収穫時期9月10日頃~
土遊野ではずっと中生品種はコシヒカリだけだったのですが、お客様からのお問い合わせで唯一「ミルキークイーン」は育てていませんか?と名指しのご指名があったので、ミルキークイーンを有機栽培で作ってみよう!となりました。
もっちもちの食感が特徴で、もち米の蒸米のような粘りと甘みがあります。
そして、ミルキークイーンの玄米は驚くほど甘く美味しいです!!!
少し粒が小さめではあるので、食べやすく、私は玄米食を始めたい方にはミルキークイーンをお勧めしています!
少し遅い中生品種「新大正もち」…収穫時期10月1日頃~
こちらも、富山県生まれのモチ米です。
今では作りやすさで他の品種が主流になっており、幻の品種と言われるほどですが、このモチ米の甘みに惹かれ育て続けています。
晩生品種の「イセヒカリ…収穫時期10月10日頃~
伊勢神宮の神田で自然変異で生まれたという品種。
各農協での産地銘柄品種などに登録されていないため市場では出回らない品種です。
最大の特徴は「硬質米」でさっぱり粒がしっかりしています。
火を入れてもおかゆにしても粒が潰れにくく、チャーハンや酢飯やリゾットなどにもおすすめです。
土遊野ではイセヒカリ100%で純米大吟醸も仕込んでいただいています。
そしてなにより、育ちがすばらしい!棚田の希望の品種です。
背丈が低く倒れにくい!草にも負けにくい!収量を見込める!おいしい!!
あまり知られていない品種ですが、実はこの冬からカリフォルニアデビューも控えている品種です。
向こうの有名シェフがとっても気に入ってくださったようで、土遊野の棚田米イセヒカリが世界を渡ろうとしています。
このお話はまだ後日(^^)
それぞれ品種の特性があり、もちろん味わいも違います。
この5品種はどれもそれぞれの美味しさの持ち味が違い、なにより、「美味しいな」と思う品種を育てています(^^)
土遊野写真館
ひよっこ農家娘二代目奮闘記
農業家への道⑦ータイ編ー
前号に引き続き、イサーン地方と呼ばれる東北タイの農村で暮らした3ヶ月の経験をお話します。
今を思い返しても、農業への道を私は考え始めた大きなターニングポイントでした。
私が滞在していたのは、日本人の奥さんとタイ人の旦那さん、そして二人の子どもたちの一家でした。
日本で縁があり紹介していただきました。
NGO団体に勤めておられた奥さんは、旦那さんと結婚して現地の農村に入り、農業をして生計を立てて生きる道を選ばれました。
私は当時「世界を股にかける仕事がしたい」と漠然と思っていたので、NGOや海外協力隊に関心がありました。
なので、私は奥さんに「どうして組織から離れ、農業をしようと思ったのですか?」と尋ねました。
奥さんは「支援する、援助するという立場にいては、現地の農民は変わらない。いつまでも私達に支援を援助を求め続ける。同じ立場で同じ境遇で仕事を拓いていくことが、地域変革のスタートだと思うの。」と話してくれました。
私はこの言葉をききながら、両親と、富山の里山を思い出していました。。。次号へ続く
今月のおすすめ商品
【令和5年産・新米】土遊野の有機米「棚田-tanada-」イセヒカリ
土遊野が農業を始めた棚田で育ったお米です。10㎞の森の用水からの冷たい栄養豊富な水、昼夜の寒暖差、そして粘土質の土質を持ち合わせ、ゆっくりと甘育つため、有機栽培ではあまり多収が叶う田んぼではありませんが、その分、甘みと旨みあるお米が育ちます。 一部アイガモ農法も取り入れています。(有機JAS取得米) イセヒカリは、伊勢神宮の神田で誕生した物語のあるお米で、収量、耐病性に優れ中山間地域での米作りの「希望の光」のような品種です。硬質米(コシヒカリは軟質米)ですので、べたつかずおむすびや酢飯、リゾットなどの洋風調理にも向いています。また、おめでたいお米として、結婚式の引き出物や内祝いなどのギフトとしても、お使いいただいております。
お知らせ
土遊野の河上家が愛用しているフランス発祥のファッションブランドALGLEさんに、取材していただきました。とっても素敵な写真や記事になりましたので、ぜひご覧いただけますと嬉しいです。
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