土遊野通信2023.5月号
2023/06/02
はじめに
5月の草木の緑色が、私は大好きです。4月後半から一気に若草が萌えはじめ、5月その緑色がより深くなっていきます。青空に、緑の草木、そして水を張った田んぼに映る夕暮れ、いのちの息吹の加速を肌で感じるのが5月。人生でいうと中学生から高校生、目に見えて成長著しい季節。いのちの育つ速さは、人も自然も一定ではないことを教わります。
さぁ、里山の棚田の田植えは5月20日頃から始まり、6月15日前まで。田んぼに水を入れ、毎日朝晩の水管理、代かき、田植え、アイガモ部隊と除草作業、7月中旬までギア5速で走り続けます!
土遊野循環記
有機米の栽培と平飼い養鶏を主軸に 循環型農業を行っていますが今年の通信では、この循環について詳しくお伝えしていきたいなと思っています。農業に興味がある方、いつかやってみたいと思う方にはどんどん参考にしてもらえたら、嬉しいです。
第4回「地域資源の循環 例えば土遊野ではこんな感じ」
前回は「どうやって循環の輪が大きく?!価値を決めるのは私達農家自身!!」というお話をしました。
今回は、農場内循環から広がった地域との連携の実際の土遊野の場合の具体例をお話したいと思います。
土遊野の循環の中心は鶏のエサを自家配合で手作りしているところにあります。
なので、季節により材料は変わり、それを混ぜ合わせて発酵させる技術が大切です。
通年では、地元大沢野地域にあるパン粉工場さんから、パンの耳をいただいています。
パン粉って白いですよね?そう、焼け目の付いた耳の部分はカットし以前はお金を払ってゴミに出していたそうです。
小麦の塊ですので、有難くいただくことにしました。
昨年11月に、農場の裏山にある竹林を整備し、間伐した竹を竹チップに細かくして、鶏のエサにも混ぜています。
竹には「ケイ酸」が多く含まれており、ケイ酸はお米作りにとても大切な成分です。
鶏糞堆肥にケイ酸を混ぜ込む作戦です。
5月~10月には、地元の福祉施設で栽培しているニラの残渣をいただきます。
平飼い養鶏で大切にしている「緑餌」に大活用させていただきます。
夏バテにも効いているように感じています。
同じく地元同世代の小松菜農家さんより小松菜もいただいています。どちらも車で15分圏内の農家さんです。
また、9月には地元の篤農家さんよりモミガラをダンプに10台分以上、いただきます。
エサやヒナのお部屋づくり、畑に活用させていただいています。
少し離れはスーパーの豆腐工場より大豆の皮をいただき、これはヤギさんにも大好評です。
今年はお寺さんから、境内で集めた落ち葉をダンプ2台分いただき、主に畑のマルチなどに使います。
皆さんの地域ではどうでしょうか?
日本では、お金をかけて食べ物を廃棄することがまだまだ当たり前のようです。
分業し効率化されてきた社会ですが、今後の「有機物の循環」は国土の豊かさや食料生産において大事にすべき点だと思います。
生ごみという言葉が私は好きではありません。
有機物はエサか土に還るものと見えたら、捨てるという考え方も少し変わってきませんか?
今、日本でも持続可能な農業、有機農業の推進が進んでいます。
その流れの中で、たくさんの有機農業に使える資材、土を良くする微生物資材などなど、肥料や土壌改良資材の商品が増えてきています。
それらの資材で、収量が増え農家の所得が上がるのには効果的なものもあるかもしれません。
しかし私は、なるべく自給する、ある素材で土を良くできないか、エサを作れないか、いつも考えています。
農業はいつも先行投資です。
種まきも土づくりも。でも実りが思うようにいくかいかないかは、お天道様の力にも頼っています。
お金を払って資材を買うのは最終手段であり、まず自ら素材を活用し資材やエサや土を作れる技術を
持つ「人を育てたい」のです。
土遊野写真館
ひよっこ農家娘二代目奮闘記
誰も自分に期待している人がいない環境、東京での予備校生活が始まりました。
満員電車だから次に乗ろうと思ったら、次も満員電車。その次も。どこにこんなに人がいるのかと思うくらい、電車からたくさんに人が出てきて、たくさんの人が乗っていく。
とても近い距離なのに、みんなしっかり壁を作っている。
その中に、ランドセルを背負った小学生がいたことに驚きました。
山道をクマに注意して通学していた私とは違う、なにか特殊な力がこの子達には培われていると思いました。
4月に予備校が始まり、6月に私は一度富山に帰省し両親にこう言いました。
「大学行くのをやめて、農業してもいいかな?」自分の価値が東京で分からなくなり、今から思えば、知った場所生きやすい場所で生きたいと逃げていました。
父からの言葉は一言、「慌てなくていいんだ。」でした… 次号へ続く
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