土遊野通信2023.3月号
2023/03/21
二十四節気の啓蟄(けいちつ)の3月
土中で冬ごもりをしていた生き物たちが目覚める頃とされています。農業を始めてから、この暦と共に生きる時間がふえている気がします。富山の米農家の冬は農閑期、身体も心も少し休める頃としていて、この啓蟄と共に、春に向けて目覚めるぞ!と、 身体も心も起こします。今年も棚田一山分、じいちゃんから引き継ぎました。作付け計画、自家産肥料づくり、そして種まきの準備、いよいよスタートです。皆さんにとっても新しいスタート、挑戦の季節かと思います!春が巡ってきてくれることへの感謝と、すばらしい出会いの春を願っています。
【シリーズ】土遊野循環記
有機米の栽培と平飼い養鶏を主軸に、循環型農業を行っていますが、今年の通信では、この循環について詳しくお伝えしていきたいなと思っています。農業に興味がある方、いつかやってみたいと思う方にはどんどん参考にしてもらえたら嬉しいです。
第2回「田んぼの始まりは森の用水と先代の想い」
前回は、「循環の始まりは森の神様」というお話をしました。
物事の「循環」を考える時、まず第一にこの循環はどこからスタートするのかということを考えます。
その輪の中にある一つ一つの存在意義はなんだろうと。
簡単にいうと、どうしてこれが存在しているのか、です。
今回は、土遊野の引き継いでいる田んぼの始まりについてです。
土遊野の発酵の始まりは、森の落ち葉の下に生きる菌たち。
この子たちの力を借りてエサをつくり土を育てています。
落ち葉を拾いに、森へ入るのですが、もちろん勝手にそこいらの森に入っているわけではありません。
土遊野の棚田は、全長10㎞の森の用水に支えられています。
この用水沿いや用水の中に、たくさんの落ち葉が積もっているのです。
杉や広葉樹に囲まれ、車が通ることはできない用水が10㎞続いているのです。
間には5つの長い隧道(トンネル)があります。
まるでラピュタの坑道のよう。
私が最初にこの用水を歩いて抱いた感想は、「どうやって、この用水を作ったのだろう。車も大きな重機も入りそうにないこの森に、どうしてこんなに長い用水を作ろうと思ったのだろう。大変だったろうに…。」でした。
用水を一緒に管理する集落の方々の話を聞きながらずっと考えていました。
どんな思いで、この棚田を拓き用水を作ったのだろうと。
「生きるために。この先もこの棚田でお米作りをして生きるためには、あの10㎞離れた大きな河川から安定した水を引いてくる必要がある」
そう考え、森に隧道を通して用水を完成させた先代たちがいます。
自分たちの代だけではなく、次世代には必ず必要だろうと、想いを馳せてくれたのです。
もしかしたら、棚田は今や、平地の広い田んぼに比べれば、条件不利地かもしれません。
でも尺度を変えてみれば、こんなに恵まれた土地はありません。
苦土の多い粘土質な土質、寒暖差、森の養分を豊富に含む水、 どれも平地の田んぼでは得難いギフトばかりです。
この棚田の存在意義をおもい、棚田と用水を囲む森との循環を描く。
土遊野の循環の大きさはこうして拡がっていっています。
土遊野写真館
真ん中に見える家が、 現在の土遊野の母屋や 事務所がある場所。
この棚田を拓き、お米を育てて 生きていた人がいた。
感動と勇気をもらえる。
私達は、子どもたちに どんな国を残せるだろう。
今月のおすすめ商品
“日本の里山の有機棚田米の魅力と可能性を拡げたい”との想いで、 お米を使った新しい「本みりん造り」というたな挑戦を決意しました。 安心安全でかつ美味しい本物の食を味わってもらうため、有機栽培認証済みの棚田米100%で仕込みました。 甘みがブドウ糖やオリゴ糖などの多種類の糖類で構成されているため、砂糖に比べてやわらかで上品。また、甘いリキュールのような味わいなので、食前酒・食後酒としても、お楽しみいただけます。
お料理に欠かせないものだからこそ贈り物としても。
お米の魅力と可能性の詰まった本みりんができました。
ICC@福岡 【ともに学び、ともに産業を創る。】に参加出展してきました。
食べチョク代表秋元里奈さんのご縁から、福岡で開催されたICCに「フード&ドリンクアワード」への出展と「社会課題解決に挑戦!ソーシャルグットカタパルト」で登壇スピーチしてまいりました。 フード&ドリンクアワードでは見事準グランプリをいただきました。有機棚田米イセヒカリと純米大吟醸、そして本みりんを試食試飲いただき、里山やお米の魅力と価値を拡げたいという想いを届ける3日間。 どうしても、現場で1人で頑張ってしまいがちな私達農家ですが、参加の中で農業を一緒に考えたい!!!
という方がたくさんいること、私達はもっと「共に」を求めてよいということ、たくさんの出会いや言葉から感じました。 皆様、本みりんの甘さに驚き、これが加糖などしていないお米が本来持つ力であることを体感いただき、もっとたくさんの人に届けたいなとも思いました。
ひよっこ農家娘 二代目の奮闘記
農業家への道②
「手でなにかを生みだす人に」という父からの言葉がありましたが、私は中学校に入りバレーボール部で360日は練習をする日々を送っていくうちに、あまり農場のお手伝いはしなくなっていました。専業農家なので、GWに田植えに駆り出されることもありませんでした。高校でもバレーボール部と進学校だったのでテストと受験勉強の日々、部活で得たものが多かった私は学校の先生になりバレーボール部の顧問になりたいなとしばらく思っていました。ちなみに中学校、高校へは、バスか自転車通学。我が家に辿り着くには激坂があり、そこを「降りずに登る!」とトレーニングをしてしまうほど、自分を鍛えることは好きだったと思います。そして、大学受験、見事に落ちてしまい、滑り止めも受けていなかった私は、行く大学がなくなってしまいました(笑) 次号へ続く。。。
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