土遊野通信2024.3
2024/03/04
はじめに
雪があまり積もらずに、3月を迎えました。除雪仕事がなく、鶏舎の増築のための木材を刻んだり、棚田の雪が溶けて早めに排水作業にまわったり、こんなに雪が無かった冬は初めてだったので、少し戸惑ってもいます。暖冬の翌年は冷夏という例年の流れもそうではないのでしょう。暖冬にて心配されるのは水の確保となってきます。食糧生産にも生活するにも必要な水は、暮らしに大きく関わります。干ばつや飢餓とは無縁の国のようですが、今年は昨年の少雨も経験しているので、水不足への対応を頭に置いています。
↑崩れた棚田 田植えに間に合うかな…
土遊野循環記
有機米の栽培と平飼い養鶏を主軸に 循環型農業を行っていますが今年の通信では、この循環について詳しくお伝えしていきたいなと思っています。農業に興味がある方、いつかやってみたいと思う方にはどんどん参考にしてもらえたら、嬉しいです。
第13回「森からいただく水の循環」
前回は「循環型農業」というお話でした。
今回は「森からいただく水の循環」というお話です。
先日、娘と水源を辿る散歩、というか小さな冒険をしてきました♪
土遊野の本社というのは、創業者の橋本家、つまり私の実家です。
この地域には水道が3年前にようやく通り、加工所などでは使っているのですが、 生活用水は今も山水です。両親が移住し、安定した山水を自宅から2km程山奥から引いてきました。
森からしみ湧いて小さな沢となる場所から取り入れています。
なので、大雨が降るとお風呂が茶色く濁るのは当たり前です。
父は「ミネラル風呂なんだぞ!」といっており私もそうなんだぁ…と慣れていました。
しかしながら 結婚して山に移住して来てくれた夫は、それまできれいな水道で暮らしていたので、大変動揺したと思います(笑)
今を思うと、これはあくまで持論ですが私はこうして除菌殺菌されていない水からたくさんの菌達をゆっくり接種し、身体はそれを取り込み、対処し、丈夫になってきたのかもしれません。
娘も風邪をあんまりひかないのは、そんな日々触れる小さな菌たちのお陰かもしれないですね。
先月2月にとてもぽかぽか陽気があったので、山水を貯めて濾過している水槽の掃除をしました!
娘は初めてで、プールに入る気満々で、水着を出してきました。
↑手前のマスで山水をろ過し奥のマスに貯めて使います。
配管の出口に、サンショウウオが詰まっていたこともあります(笑)
その後、せっかくなので森の水の取り入れ口にも行ってきました。
地震で石が崩れ、水路が変わっていたので、その石などをどかして水の流れを復元。
さらにこの沢水はどこから湧いているか見てみよう!と沢を辿り、森を500mほど登りました。
そうすると、大きな木の根っこから、水が染み出していました。それがいくつか集まり、小さな沢になる。森には涵養機能といって、降った雨を、ゆっくり濾過している街へ流してくれる機能があると知ってはいましたが、本当に木の根っこの下から湧き出ているのをみてなんだか感動しました!
この水をいただいて生きているよ!と、娘にみせて伝えられたこと、この森からいただく水の循環を知れることは里山ならではだなぁと体感しました。
またファームツアーに組み込みたいなと思っています。
ここは昔村があった場所。スギ林の下は石詰みの棚田の跡が 残っています。
自分たちの生きる糧は どこからいただいているのかを知る 小さな冒険でした(^^)
【特集】土遊野の棚田米イセヒカリが世界と繋がるSilvers Omakase(シルバーズおまかせ)
土遊野の有機米「棚田-tanada-」イセヒカリは、なんとなんと、 今年の2月にオープンしたカリフォルニアの寿司料理店Silvers Omakaseで使っていただいています!
土遊野の農産品を輸出したのはこれが初めてですので、日本の棚田が世界と繋がった一歩目のご縁となります。
召し上がっていただいた皆様に「お米の重要さや大切さが伝わった」とご感想もいただいています!
両親がこの棚田を引き継いでから30年余り…外国で食べていただける機会が来るとは!と、とても私の心は熱くなっています。
棚田米を通して、里山農業を通して、命を繫がりを世界に伝えていきたいと思っています。
日本の棚田とイセヒカリを伝える動画も撮影いただきましたので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです。
今月のおすすめ商品
~有機米イセヒカリ 棚田-tanada-~
イセヒカリを栽培し始めて10年以上。市場では流通しにくい品種なので、初めて知る方も多いと思います。大きな特徴は「硬質米」とよばれモチモチ感がコシヒカリよりも少なく、粒が潰れにくく、さっぱりしたお米です。しかしながら甘みがあり、しっかり調理しても米の食感が残ります。
伊勢神宮の神田で生まれた誕生秘話もあり、お祝いの席でもよく用いていただいています。また、健康にも良い「高アミロース米」で、普通のご飯より食後の血糖値が上がりにくいと言われています。
ひよっこ農家娘二代目奮闘記
~創業者の想い編~
創業者の想い編
その地に根ざす大きな樹になる人生を生きていみたいな。
自分の「めぐみ木」を育てるぞ!
この地で農業をするぞ!
と決めるとき、全く迷いがなかったわけではありません。
農業をしたら、もう気軽に動けなくなっちゃうのではないか…
社会経験を積まずに実家に戻るなんて甘えてるんじゃないか…
山奥に住むなんて、世界が狭くなってしまうのではないか…
そんな私の決定打になったのは、両親が農業を通して実現したい未来への想いでした。
父は東京のサラリーマン家庭、 母は茨城の老舗醤油蔵生まれでふたりとも非農家、20代後半に結婚と同時に移住してきました。
きっかけは富山の森林で行われる農薬散布への反対運動として、スギ林の下草を手で刈るという「草刈り十字軍」運動でした。
発起人の足立原貫先生は土遊野のある富山市大沢野地域にいらっしゃいました。
このご縁で、両親は富山で出会い、富山市(旧大沢野町)土(ど)という場所を知ることとなります。
現在、お菓子工房にしている場所は、草刈り十字軍の合宿所だったのです(ちなみにそれ以前は小学校の冬季分校)。
ここから、ひと夏、山に入って 草を刈っていたそうです。
さて、森の下草を刈る中で、両親はなにを想ったのでしょう…… 次号へ続く
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