はじめに

5月、土遊野の棚田や麓の田んぼには水が入り始め、とても美しい風景になります。棚田から平野を見渡すとそちらにも街を囲む水田に水が張られ、田植えをしてもまだ苗も小さいので、街が水に浮かんだように見えます。

間違いなくこの「水の豊かさ」が、日本の豊かさであり、田んぼの豊かさの源と、体感できるのもこの時期です。もう一つ素晴らしいのが、日本の灌漑技術。かつて大半が農家だった時代に、その農家を養うだけの技術と知恵が、今も地方にはあります。私が学生時代にタイの農村に滞在していた頃、拓けた乾いた田んぼに籾をまき、雨ごいする地域を見ました。土地があっても、灌漑設備がなければ、農業は厳しいのだと初めて知りました。

日本の水田は、山のてっぺんでも森の用水があり田んぼに水が入る仕組みが当たり前のようにありましたから。日本の田んぼは本当に高水準で豊かなのです。こんないろいろな豊かさを感じられる里山が、日本の豊かさの一端となれますように。

【特集】米粉の世界へようこそ

今、小麦価格が高騰する中、米粉が再注目されています！でも、「まだ米粉を使ったことがない」「米粉ってどうやって使うの？」「米粉の何がいいの？」という方も多いはず。なので、今回は米粉の世界についてちょこっとご紹介したいなと思います♪

土遊野米粉を使ってくださっているお店紹介

土遊野食材が味わえるお店紹介

お米から生まれた無添加・ノンカフェインの”GENMAI COFFEE”

溶かすだけで玄米の栄養がまるごととれて、フードロスも出ない、人にも地球にもやさしい、ノンカフェイン玄米珈琲を作っています。オーガニックや無農薬で栽培されている日本各地の生産者さんの玄米を鳥取で焙煎し、京都にある福祉施設から一つ一つ丁寧に梱包発送します。ここでは、玄米珈琲の原料の一部に、土遊野有機棚田米を使ってくださっています。
※販売はオンラインショップのみです。

グルテンフリーのお菓子屋さん”bebe”

「富山の美味しいお米や食材を使ったお菓子作りがしたい」、「アレルギーやグルテンフリーに気を使っている方でもみんなと同じおいしいお菓子を食べてほしい」という想いから生まれた、グルテンフリーのお菓子専門店です。アレルギーを持っている方、グルテンフリーを心がけている方はもちろん、普段は特にグルテンフリーを気にしていない方でも米粉のお菓子ってこんなにおいしいんだ！と思っていただけるようなお店づくりをされています。ここでは、土遊野の米粉を使っていただいています♪

今月のおすすめ商品

写真館

ひよっこ農家娘 二代目の奮闘記

共に耕す③…土遊野では、長く続く人がしばらくいませんでした。おそらく理由は「長く共に働く人を私自身が心から求めていなかったこと」です。少なくとも私が農業をはじめてからしばらくは、「来るもの拒まず、去る者追わず」というスタンスをとっていたと思います。農業を体感する場が少ないこの社会で、入り口を狭くすることがあまり良くないかなと思っていたからです。体験してのめり込む者、大いなる期待を抱いて途中で辞める者。農業は1週間や1か月でなにかが分かるものではありません。最低3年。これはどの仕事とも同じだと思いますが農業は3年目からがずっと面白くなります。「1年目、素直さ。2年目、尊敬。3年目、挑戦。」振り返れば、私はこのように成長してきました。どれが欠けても、人とともに営む農業は成り立ちません。そうは思いながらも、3年ももたず人が半年、1年で辞めてしまう日々が4年ほど続きました。ずっと本人の甘さや、体力知力が不足し、農業では通用しないのだと思っていました。その人が辞めないように、その人のペースに合わせた仕事を頼むと、今度は私がストレスと抱え込む状態。私がやった方がずっと早い。私は当時現場プレーヤーでした。私はこのストレスに直面し、生まれた問がありました。「なんのために、人と農業をするのか？」…次号へ続く…